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「正直、死ぬかと思った」
「……何が」

 廃墟の前で体育座りをする、気だるげな青年と三つ編みの少女。

「まさか襲われると思わなかったし」
「ああ、そのことか」
「それ以外に何があるってのさー。……それにしても」

 廃墟の四階。大部屋の窓は窓枠ごと壊されている。

「人外に襲われてる所に人外が助けに来て人外を倒すなんて、どんなストーリーだねワトソンくん」
「シュールだね。でもボクだって助けに来たじゃないか」

 青年は金属バットをくるくると地面に転がしている。

「ここに居れば戻って来るかな、彼ら。友達探しに行くって言ってたけど、見つかったのかな」
「……あ、あの子たちか!」
「みちる、知ってるの?」
「友達志望なうです。アイエヌジー。小学生の男の子と女の子!」
「それは面白いね。志望動機は固めておきなよ。下手すると犯罪になるから」
「あ、そうだワトソンくん今何時? 五時? 六時?」
「時計なんか持ってないよ。どうして?」
「友達の安否確認がしたくてさ!」
「……友達、いたの?」
「ちょっと今朝ね! あの子たち戻って来たら、様子見に行こっかな」

 みちるはへらへらと笑い、空を見上げた。

「あ、見て見て! オーロラ消えてく! 貴重なシーンだね。いやあ、なんだか長い一日だった」








第六話  終




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